お婆ちゃまにはできるだけ沢山手紙を出したいんですけど、この前に書いていた手紙はちょっとしたことで破けてしまいました。だから、今こうやって書き直しています。

 実は何日か前にガダラルさんが家に帰ってこなくなってしまいました。
 最初は、動物と一緒だからお腹がすいたら帰ってくるって冗談を言っていたミリ様たちも、次の日になっても帰ってこなかったのですっかり慌てだしてしまって。私も探そうと思ったんですけど、誰か一人は家に残っていて欲しいとルガジーン様に言われて、家でガダラルさんを待つことにしました。夜になっても帰ってこないガダラルさんを待っていて、そういえばガダラルさんに自分が連絡もなしに帰ってこなかったり、何日待っても帰ってこなかったときは知り合いの家へ行けと言われていたことを思い出しました。
 ガダラルさんに言われたことなので、そのまま少しだけ荷物を持って出発しようとしたとき、庭にガダラルさんの字で料理のメモが置いてあったんです。ガダラルさんが帰ってきたこんな物を置くわけないですし、本当に大変なことになったんだなってそのメモを持ってガダラルさんの知り合いのお医者さんの家に行きました。私がガダラルさんの名前を出したらすぐ家に入れて部屋を用意してくれましたが、ガダラルさんにちょっと怒っているようでした。自己犠牲と自爆は馬鹿のやることだって、ガダラルさんが帰ってきたら伝えて欲しいって言われましたけど、ガダラルさんは馬鹿じゃないです。
 でも、ガダラルさんは私に色々してくれるけど、自分のことで何かしているのを見る事ってあまりない気がします。私はガダラルさんのことが大好きなのでガダラルさんに色々してあげたいなって思いますけど、あまり返せていない気がします。ガダラルさんも、もっと自分の好きなこととかやりたいことをやってくれてもいいのに。


 えっとそれで、手紙が破けちゃった原因なんですけど。
 お部屋で手紙を書いていたら、部屋の窓からいきなり男の人が入ってきてびっくりしてペン先で破いてしまったんです。慌てて部屋に入ってきたお医者さんが魔法で追い出してしまったので何もなかったですけど、あまりあの辺りは治安が良くないみたいです。ガダラルさんは色々壊す魔法ばかり私に教えてくれますが、魔法には色々な使い方があるんですね。お医者さんの魔法の使い方を見たら、私ももっと別な魔法の使い方を勉強したくなりました。
 それから何日かお医者さんのところで過ごしていたんですが、ルガジーン様が迎えに来てくれて私は家に帰ることになりました。お医者さんがガダラルさんが帰ってきたら連絡してくれって、ルガジーン様に言ってあったみたいです。
 久しぶりに会ったガダラルさんはベッドの中でした。
 手首とかに包帯が巻いてあって、顔色も悪いし、一気にやせちゃったみたいですし、もうとにかくいつもの元気なガダラルさんじゃありませんでした。なのに私のことばかり心配して、自分のことは全然平気みたいに言うんです。皆さん一生懸命ガダラルさんを探してくれて、すごく心配していたのにそんな人たちのことばかり心配してるんですよ。私はガダラルさんのことが大好きなのに、ガダラルさんは自分のことを大事にしないんです。
 そんなの嫌です、ガダラルさんはもっともっと幸せになってくれないと嫌なんです。
 あまり話すことは上手じゃないんですけど、ガダラルさんにわかってもらえるようにいっぱいお話ししました。怪我して帰ってくるのはお仕事だからしょうがないと思ってましたけど、やっぱりガダラルさんは無事に帰ってきてくれて一緒にご飯を食べてくれるのが一番嬉しいですし、私がコーヒーを飲んだり好き嫌いをすると怒ってくれたり、一緒に買い物とかお出かけに行けるガダラルさんがいいです。
 ベッドの上で私たちの心配ばかりしているガダラルさんは駄目なんです。
 最後は私も泣き出してしまって、何を話したかあまり覚えていないんですけど。ガダラルさんは、私の頭を撫でてごめんなさいしてくれました。


 こんな体なので少しの間ガダラルさんはお休みするそうです。星芒祭が終わるまではずっと家にいてくれるそうです。体が良くなるまで少しかかりそうですけど、それまでは私が星芒祭の準備をしっかり頑張ろうと思います。
 それからガダラルさんへのプレゼントも用意しないといけないですね。

 お婆ちゃまにも何かプレゼントを贈りますね、それでは。