お婆ちゃま、この頃毎日がとても大変です。
 この頃蛮族の襲撃がないのでガダラルさんもお仕事が楽だと言っていましたが、その分家にいることがとても多くなってしまいました。嬉しいのは嬉しいんですが、家にいる時間が長いということは、私の魔法の勉強をたくさんみてくれるということなんです。
 ガダラルさんは先生としては、とってもとっても厳しくて、私はいつも怒らたり、魔法で吹き飛ばされたりしています。ガダラルさんは魔法の勉強は実際にやってみなければ覚えないという信条の持ち主なので、勉強なのにかなり実戦形式に近いやり方で教えてくれています。怪我をしても自分で治せって言われるので、毎日生傷が絶えません。でもガダラルさんはちゃんと手加減をしてくれているので、私が死んじゃうことはないと思うので安心してください、お婆ちゃま。この間私の勉強風景を見て、私が殺されるんじゃないかってルガジーン様が本気で心配してくれましたが、多分大丈夫だと思います。

 でも魔法ってすごく奥が深いんですね。
 勉強すればするほどわからないことが増えていくので、毎日毎日勉強ばっかりしています。タルタルは直感で魔法を組むから理論も少しは覚えておけってガダラルさんはよく言いますが、そういえば今まで新しい魔法を覚えるときとか、あまり何も考えていなかった気がします。だからタルタルは適当だってガダラルさんに言われるんですね。
 基礎を知らないと、なにも新しいことを覚えられないっていつも言っているガダラルさんは、暇があればいつも勉強しています。すごいなって思うんですが、本を読むのが好きすぎてご飯の時間になってもお部屋から出てこないことがあるので困っています。ルガジーン様が来てくれたらお部屋から出してくれるんですが、私だと言うことを聞いてくれません。後からちゃんと来てくれるんですが、私はガダラルさんと一緒にご飯が食べたいので、先に食べておけと言われるとどうしていいかわからなくなるんです。すぐに食べたくなるようなおいしいご飯を作ったら、ガダラルさんと一緒にご飯を食べられるようになるんでしょうか?



 ご飯といえば、この間すごく怖いことがありました。
 私が寝相が悪くて風邪を引いて、ルガジーン様がお見舞いに来てくれました。ちょうどそのときガダラルさんは薬を買いに行ってくれていて、私は自分のお部屋で寝ていたんです。ガダラルさんが麦で甘いお粥を作ってくれておいたので、自分で温めようかと思っていたんですが、ルガジーン様がやってくれるっていったのでお願いしたんですけど。ルガジーン様がお鍋を真っ黒に焦がしてしまって、台所もひどいことになってしまいました。もちろん、あとで帰ってきたガダラルさんに二人で怒られたんですけど。


 本当に怖かったんです!


 今まで怒られた中でも一番怖くて私はずっと泣いていて、ルガジーン様は床にはいつくばって謝っていました。怒られたって今まで何度も書いてきましたけど、あれはガダラルさんにとって怒っているうちに入ってなかったんですね。家が燃えちゃうんじゃないかと思ったくらいです、ガダラルさんの本気はすごいです……
 それからすごく散らかってしまった台所をルガジーン様が片付けて、私は熱が下がるように温かいお茶をたくさん飲ませて貰いました。でもこのお茶が苦くて苦くて、ガダラルさんはまだ怒ってるみたいでした。
 その時もう一度言われたんですが。
 ルガジーン様にお料理とかをやってもらっちゃいけないんだそうです、絶対に。でも鍋を温めるだけであんなに真っ黒にしてしまうのって、どうやったらできるのか本当に不思議です。ガダラルさん曰く、ルガジーン様は真面目そうに見えて実はすごく大雑把なんだそうで。だけど、どうやれば台所をあんな風にできるのか、今でも不思議です。
 この頃熱を出すことが多くなって、お仕事があまりできなくてガダラルさんに迷惑ばかりかけています。慣れない土地に来て疲れが出てるんだってガダラルさんは言いますけど、なんだか違うような気もしています。お婆ちゃまに心配かけるような事を書いてごめんなさい、これ以上ガダラルさんにもお婆ちゃまにも心配かけたくないのに、みんなを困らせてばかりです。
 次は楽しいことを書けるように、まずは元気になろうと思います。