お婆ちゃま、先日のお手紙はとても嬉しかったです。 集落から出て行くように言われてからしばらく帰っていないので、とても懐かしかったです。みんな元気そうで安心しましたけど……お婆ちゃま、本当に体は大丈夫なんですか? 本当は帰りたいですけど、私は集落に帰っちゃいけないそうなので…… お婆ちゃまの手紙を読んで寂しくなってちょっと泣いてしまいました。いっぱいいっぱい泣いたら落ち着いたので、ちょっと散歩に行こうと思って外に出たら、ばったりルガジーン様に会ってしまいました。 こんな夜遅くなのに帰り支度をしていたので、怖かったのだけどどうしたんですかと聞いてみたら、喧嘩したので帰ると言っていました。ほっぺたがちょっと腫れていたので、きっとガダラルさんに本気で殴られたんだと思います。ちょっとかわいそうでしたけど、きっとルガジーン様が悪いんだと思います。ガダラルさんは怒りっぽくてわがままですけど、理由もなしに叩いたりはしないので。 ルガジーン様を外までお送りしてから、ちょっとお外の散歩をしていたら、ガダラルさんの部屋の前にある大きな木が目にとまりました。この木は私の名前の由来になった木と同じ種類ですが、集落のある物よりとても大きいんです。昔木登りをして遊んだことを思い出して登ってみたら、ちょうど窓を開けて本を読んでいたガダラルさんと目が合ってしまいました。 もちろん思いっきり怒られたんですが、怒られた後色々とお話をしました。木に登ると、普段は顔を見上げて話すことしかできないガダラルさんと、ちゃんと顔を合わせてお話しできるのでとても嬉しかったです。私の名前の由来になった東の方にある国の古語の話とか、お婆ちゃまと暮らしていた時の話とか。 私が集落を出されたときの話もしました。 この話をしたらガダラルさんに追い出されるから言うのが怖かったんですが、ガダラルさんはおまえを置いておく心の余裕のない奴らが悪いんだろう、ってあっさり答えてくれました。ガダラルさんは私みたいな困る子を置いておいても困らないんですかって聞いたら、逆にすごく大笑いされてしまったくらいです。 私を拾ってくれたのがガダラルさんで、本当に本当に本当に良かったです。 お婆ちゃまが昔、本当に仕えたい、忠誠を誓いたい相手にあったときは自分の身に代えても相手に尽くせって教えてくれましたけど、私はガダラルさんになら忠誠も何もかも全部捧げてもいいと思いました。 ガダラルさんにもう木登りはやめろって言われましたが、こうやってガダラルさんとお話するのはとても楽しいので、また今度木に登ってガダラルさんとお話をしに行こうかなと考えています。 本当に体がつらくなったら教えてくださいね、お小遣いも少し貯まったのでいいお薬を送ります。 |
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