こちらはまだまだ暑いです、今年くらい暑い年は今までなかったみたいで、街では毎日氷が飛ぶように売れています。私もアトルガンに来てから氷菓子がすっかり好きになりました、最初はお小遣いで買っていたんですが、自分で作った方が早いことに気がついたので、今は自分で作っています。凍らせることは得意なので、よくミリ様につくってあげるとすごく喜んでもらえるんですよ。 ミリ様って言ってもわからないと思うので、今日はガダラルさんの家に来るお客様の話をしますね、お婆ちゃま。 ガダラルさんは五蛇将という偉い役職にあるので色々な人が家に来ます、そしてだいたいの人がガダラルさんに入り口で追い払われます。人を家に入れるのが嫌いみたいですが、副官のシャヤダルさんだけは、しょうがなく家に入れているみたいです。 シャヤダルさんは私と同じですぐおろおろして、困って泣いてしまう変なおじさんです。でもガダラルさんのことがとても好きみたいで、いつもガダラルさんのためにがんばっています。いつも汗をかいていますが暑いからと言うわけではなく、単にいつも焦っているからみたいです。私のことはとてもかわいがってくれて、いつもお菓子とかを差し入れしてくれますが、見つかるとガダラルさんに怒られるのでそれは二人だけの秘密にしています。ガダラルさんの作ってくれるおやつはおいしいんですが、たまには別なものも食べたくなるんですよね…… それから、不滅隊の人もしょっちゅうやってきますが、この人たちは絶対に家の中には入れません。ガダラルさんが絶対に入れるなと言っているからです。不滅隊というのは、聖皇様の親衛隊みたいなものだそうで、青魔法の使い手さんたちばかりで構成されているそうです。アトルガンに来てから精霊さんたちやカーバンクル君がやけに騒ぐことがあるなあと思っていたのですが、この間ガダラルさんに聞いた青魔法の話を聞いて納得できた気がします。 どれだけ強い力であっても、やっぱり異常なものなんですね。 ぐるぐる回って怖がる精霊さんたちやカーバンクル君たちの声を聞いていると、私は青魔法を使えるようになりたいとは思えなくなりました。でも不滅隊の人たち自体はとても優しくて、大変だなとかご苦労様とか言ってくれますけど、やっぱりちょっと怖いです。 同じ五蛇将の人たちもよく遊びに来ます、土蛇将のザザーグ様は昔バストゥークにいたそうで、私によく昔の三国の状況や水晶大戦の話などをしてくれます。お婆ちゃまの話をしたら、もしかしたら知り合いのタルタルかもしれないと言っていましたが、お婆ちゃまは昔バストゥークにいたんですか? もしそうなら会ってまた酒を酌み交わしたいってザザーグ様が言っていました。 あの時共に戦った仲間にもう一度会いたい、っていうのがザザーグ様の望みの一つなんだそうです。 あ、ザザーグ様も私のことを子供として扱ってくれる方です。タルタルの子供はちょろちょろしてるからすぐわかるとのことなんですが、山のように大きいザザーグ様にだっこされると、私なんて豆粒みたいになってしまいます。前ザザーグ様が鞠のように上に投げて遊んでくれたのですが、ガダラル様に家の天井をぶち抜く気かって二人そろって怒られました。 最初に書いた水蛇将ミリ様と風蛇将ナジュリス様は、来る度にうちにいらっしゃいとか別なところを紹介してあげる、って言ってくれます。ガダラルさんはそんなに怖い人じゃないっていつも言うんですが、どうもそう見えてしまうみたいです。 でもお二方ともガダラルさんの家に何かあると来ると言うことは、ガダラルさんのことは嫌いじゃないんだと思います。来る度に食事をたかっているのは、きっと色々な考えがあることだと……でもウィンダスじゃお嫁に行けないと思います、お二方とも。 そうだ、この前ミリ様と一緒に水浴びをしたんですけど、背中に赤いほくろみたいなものがいくつかあるねって言われました。そんなこと初めて言われたんですが、昔からそんなほくろはあったんでしょうか? 一番よくいらっしゃるのがルガジーン様です。 はっきり言って、私はルガジーン様が怖いです。他の人たちはルガジーン様ほど優しい人はいないって言いますが、お出迎えするときに私を見つめる目がとても冷たいというか、きついというか。ルガジーン様がいらっしゃると、毎回とても怖いんですが、取り次ぎは私のお仕事なので毎回がんばっています。 何か嫌われることをしたのかなと思ってガダラルさんに聞いてみたんですが、放っておけとのことで、理由が全くわかりません。エルヴァーンはよくウィンダスでも見かけたので見慣れているはずなんですが、ルガジーン様は五蛇将のリーダーということで特別な威厳を感じます。それも怖い理由なのかもしれませんが。 ルガジーン様とガダラルさんはとても仲良しで、普段は私と一緒にご飯を食べてくれるガダラルさんですが、ルガジーン様がいらっしゃると私は自分のお部屋でご飯を食べることになります。夜遅くまで部屋に一緒にいますし、泊まっていくこともよくあるので、親友っていいなあと思うんですが。その話をガダラルさんにすぐと、すごい勢いで怒られることになります。あんな奴、友人でも何でもないと言い張ってますが、ガダラルさんはルガジーン様が来るとちょっと嬉しそうです。 私といても、あんなに嬉しそうじゃないんですけどね。 ちょっと悔しいですが、お二人でいると楽しそうなので、私は自分の部屋に引っ込んで本を読むことにしています。こうやってお婆ちゃまに手紙を書いている今日も、ルガジーン様はお泊まりです。 私は明日何を朝ご飯にすればいいんでしょうか、お婆ちゃま。 それではまたお手紙します、次のお便りが届く頃にはウィンダスも涼しくなってきているといいですね。 |
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